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典型ケース

製品の互換性適用範囲に他者の商標を標識することが

by:Posted:2018-07-04

原告

  日本セイコーエプソン株式会社 

原告代理人

  中誉威聖の弁護士と商標弁理士

被告

  ①深セン市諾昕壹科技有限公司(権利侵害製品の販売者)

  ②東莞市鳳崗聯沃印字機消耗材料工場(権利侵害品の製造者)

管轄裁判所

  中国深セン市中級人民法院(中級人民法院は高等裁判所に相当する)

判決

  2010年12月6日 (2010)深中法民第三初字第209号、第155号(原告勝訴)

趣旨

  深セン市中級人民法院は、両被告が製造販売した互換性のある製品(インクカートリッジ)の上に書いた「EPSON、EXCEED YOUR VISIONに適用」と言う表示が原告の商標権(登録商標第4382048号「EPSON」、第4630037号「EXCEED YOUR VISION」)を侵害することを認定し、両被告の権利侵害行為を差し止め、在庫品の同表示を除去せよ、原告へ金24万元を払え(二つの判決それぞれ12万元)と言う判決を下した。


分析

  二つの案件は、司法実践の中に専門性の高い判断として、以下の二つのポイントを示した。

ポイント①

  合理的な他者登録商標の表示と商標権侵害との境の判定

  法律の制定はそもそも社会の発展より遅れるものであり、法律従事者として、当事者の権利を守るために如何に新しい法律問題に対応するかが大きな課題となっている。当案件において、印字及び複写産業における互換性を持つ製品(インクカートリッジなどの消耗材)とオリジナル製品の間に存在する特別な関係をによって起こされる問題である。即ち、互換性を持つ製品の製造者は互換することができる製品(オリジナル?純正品)のリストを説明するためにオリジナル製品(印字機及び複写機)の製造者のブランド名(純正品名)を表示する必要がある。このような他者のブランド名を表示せざるを得ない場合は、互換性を持つ製品の生産販売者が信義則に基づき、その用途及び互換することができる製品()のリストを詳細に説明しなければならない。例えば、当製品は「EPSON印字機に適用する」や、当製品は「EPSON印字機にセットして使用する」等の説明をしなければならない。逆に、信義則に違反した形で他者のブランド名を表示する場合は、その表示が他者の商標権を侵害すると判断される可能性がある。

  当案件について、被告の互換性を持つ製品の上に、「EPSONに使用可」又は「EPSONに適用」を目立つ位置に表示しているだけでなく、「使用可」と「適用」の文字のサイズが「EPSON」の文字サイズより明らかに小さく、更にその文字の形状から見て、視覚から明らかに「EPSON」を強調したものである。被告のこのような表示行為は、原告の登録商標を目立って使用するとこになり、消費者に対して誤認混同を与える恐れがあるため、裁判所に原告の商標権を侵害すると判断された。

ポイント②

  他者の商標を自社の商標と組み合わせして使用しても商標権侵害になる

  当案件における被告の登録商標「联沃」及び「LNXWO(图形)」の下方に「EXCEED YOUR VISION」を表示したため、裁判所は、被告が原告の商標権を侵害したと判断した。

  その外、複数の原告の登録商標を表示した被告の行為に対して、代理人は、原告の二つの商標権に基づいて、別々に訴訟を提起し、深セン市中級人民法院の支持を得た。

  感想:本件の判決は、互換性を持つ製品の製造者がオリジナル製品(純正品)の登録商標を表示する際に権利侵害を起こさないように教育的意義を持ち、又、他者の商標を表示するセットの製品に対しても注意を払わなければならない。