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典型ケース

中誉は林偉を代理し、潮商網商標不服審査行政訴訟事件第二審で勝訴

by:Posted:2018-07-04

案件の概要

林偉は42類ホストコンピューターウェブサイト等のサービスで潮商網商標を申請し、同商標は商標局の初歩査定を取得し広告された。これに対し、深セン潮商集団が異議を提出し、商標局は異議不成立の裁定を下した。これに対し、潮商集団は不服審査請求を行い、商標評審委員会は「“晋商”が一般的に山西商人を指し、“徽商”は容易に関係公衆が潮汕商人の略称と考えるのと同様に、“潮商”は公共資源に属し、ある社会個人が独占することは妥当ではない。異議商標“潮商網”が登録された場合、公共資源がある社会個体に独占され、公共利益が損害を受け、社会に悪影響を及ぼす。よって、『商標法』10条1項8号に基づき被異議商標を登録しない。」と判断した。

中誉威聖は林偉を代理し北京第一中級人民法院に提訴したが、一審は同様の理由で商標評審委員会の裁定を維持した。

中誉威聖は林偉を代理し北京高級人民法院に提訴した。

案件の結果

北京市高級人民法院は一審判決および商標評審委員会の裁定を取消し、商標評審委員会に審査請求の裁定をやり直しを命じた。

案件の争点

1.商標評審委員会および一審法院の公共資源についての認定は合理的か。

2.商標評審委員会および一審法院は行政の一致性および行政平等の原則に違反したか。

3.本件は『商標法』10条1項8号の悪影響を及ぼす場合に当たるか。

裁判所の見解

北京市高級人民法院は潮商は一般に潮汕商人と認識される可能性があるが、マーク自体は我が国の政治、経済、文化、宗教、民族等の社会公共の利益と公共秩序に消極的、悪影響を与えるものではない。公共資源が個人に独占される状態は「商標法』10条1項8号に規定する事由に当たらない。

代理人の分析

法院の見解について。現在法院は(例外もあるものの)厳格に同条を適用する傾向にある。すなわち、同条は商標マーク自体が悪影響を持つか否かについて判断する。本件についていえば、法院は共資源が個人に独占される状態は「商標法』10条1項8号に規定する事由に当たらないと判断した。代理人は、最高人民法院(2013)知行字第42号行政裁定書の「海棠湾」の商標争議案件における見解、すなわち、関係マークが“その他の悪影響を及ぼす”場合にあたるかを判断する場合、当該マークまたはその構成要素が、我が国の政治、経済、文化、宗教、民族等の社会公共の利益と公共秩序に消極的、悪影響を与えるかを考慮しなければならない、としていることに配慮した。「海棠湾」のマーク自体は消極的な意味を持たず、本件争議商標の登録が海棠湾プロジェクトおよび海南国際旅行アイランド建設に消極的な影響を与えるかは、商標法』10条1項8号に規定する“その他の悪影響を及ぼす場合”の考慮要素にならない。代理人は、二審法院に対し、最高人民法院の上記見解を提示し、二審法院はこれを十分に考慮し、最高人民法院と同一の見解を採用した。

しかし、法院は争点一、争点二につき判断を回避した。これらの問題も、引き続き注意すべき問題である。