(1993 年9 月2 日中華人民共和国主席令第10 号公布)
第 1 章 総則
第 1 条 社会主義市場経済の順調な発展を保障し、公正競争を奨励、保護し、不正競争行為を制止し、事業者及び消費者の合法的な権益を保護するために、本法を制定する。
第 2 条 事業者は市場取引きの中で自由意思、平等、公正、誠実信用の原則を遵守し、公認の商業道徳を遵守しなければならない。
本法において不正競争とは、事業者が本法に違反してその他の事業者の合法的な権益を損害し社会経済秩序を撹乱する行為をいう。
本法において事業者とは、商品の経営或いは営利性の労務(以下「商品」という場合は労務を含む)に従事する法人、その他の経済組織及び個人をいう。
第 3 条 各級人民政府は措置を講じて不正競争行為を制止し、公正競争のために良好な環境と条件を作り出さなければならない。
県級以上の人民政府工商行政管理部門は不正競争行為に対し監督検査を行う。法律、行政法規に対しその他の部門が監督検査を行うという規定がある場合、当該規定に従う。
第 4 条 国はいかなる組織及び個人が不正競争行為に対し社会的監督を行うことを奨励、支持しまた保護する。
国家機関の公務員は不正競争行為を助長し、庇護してはならない。
第 2 章 不正競争行為
第 5 条 事業者は以下に記載する不正手段を用い市場取り引きをし、競争相手に損害を与えてはならない。
(1)他人の登録商標を盗用すること。
(2)勝手に著名商品の特有な名称、包装、デザインを使用し、または著名商品と類似の名称、包装、デザインを使用して他人の著名商品と混同させ、購入者に当該著名商品であるかの誤認をさせること。
(3)勝手に他人の企業名称または姓名を使用して公衆に当該他人の商品であるかのを誤認させること。
(4)商品の上に品質認定標識、優秀著名標識など品質標識を偽造し盗用し、または原産地を偽造して公衆に誤解させる商品品質の虚偽表示をすること。
第 6 条 公共企業または法により独占地位を有している事業者は他人に指令しその指定する事業者の商品を購入させてその他の事業者の公正競争を排除してはならない。
第 7 条 政府及び所属部門は行政権力を乱用して、他人に指令しその指定する事業者の商品を購入させ、その他の事業者の正当な経営活動を制限してはならない。
政府及び所属部門は行政権力を乱用してその他の地方の商品が本地域の市場に参入し或いは本地域の商品がその他の地方の市場に参入することを制限してはならない。
- 第 8 条 事業者は財産物品またはその他の贈賄手段を用いて商品を販売或いは購入してはならない。相手組織或いは個人に記帳しない割引金を与えた場合、贈賄行為とみなして処断する。相手組織或いは個人は記帳しない割引金を受け取った場合、収賄行為とみなして処断する。
- 事業者は商品を販売或いは購入する場合、明示の方式によって相手側に割引きを与え、仲介人にコミッションを与えることができる。事業者は相手側に割引きを与え、仲介人にコミッションを与えた場合、必ず正確に記帳しなければならない。割り引きまたはコミッションを受けた事業者は必ず正確に記帳しなければならない。
第 9 条 事業者は広告またはその他の方法を用いて商品の品質、成分、性能、用途、生産者、有効期間、産地などに対し公衆に誤解を与える虚偽宣伝を行ってはならない。
- 広告事業者は明確なまたは知りうるべき情況のもとで虚偽の広告を代理、設計、制作、公布してはならない。
第 10 条 事業者は以下に記載する手段を用い商業秘密を侵害してはならない。
(1)窃盗、誘引、脅迫またはその他の不正手段をもって権利者の商業秘密を獲得すること。
(2)前項に定める手段を用いて獲得した権利者の商業秘密を披露、使用しまたは他人に使用を許諾すること。
(3)取り決めまたは権利者の商業秘密保守に関する要求に違反して具有している商業秘密を披露し使用し、或いは他人に使用を許諾すること。
- 第三者は前項に該当する違法行為であることを知りながら或いは知りうる場合、他人の商業秘密を獲得し使用し或いは披露した場合、商業秘密を侵害するとみなされる。
- 本条において商業秘密とは公衆に知られていない、権利者に経済利益をもたらすことのできる、実用性を有する、または権利者が秘密保守措置を取った技術情報及び経営情報をいう。
第 11 条 事業者は競争相手を排除することを目的としてコストを割る価格で商品を販売してはならない。
次の状況の一つに該当する場合は、不正競争行為とみなさない。
(1)新鮮または生鮮商品を販売すること。
(2)有効期限が切れようとしている商品、或いはその他売行不振の商品を売りさばくこと。
(3)季節性の値下り。
(4)債務弁済、転業、営業停止などにより値下して商品を販売すること。
第 12 条 事業者は商品を販売する場合、購入者の意思に背いて商品の抱き合わせ販売をし、或いはその他不合理な条件をつけてはならない。
第 13 条 事業者は以下に記載する懸賞景品付販売をしてはならない。
(1)懸賞があることを偽る、或いは意図的に内定者に懸賞を得させる詐欺方式を用いて懸賞景品付販売をすること。
- (2)懸賞景品付販売の手段を利用して品質悪い商品を高価格販売すること。
(3)抽選方式による懸賞景品付販売の場合、一等賞の金額は5000 元を超えること。
第 14 条 事業者は虚偽の事実を捏造し散布して競争相手の商業名誉或いは商品信用を侵害してはならない。
第 15 条 入札者は入札談合をして入札の価格の引き上げ、引き下げをしてはならない。入札者と入札を募るものとが、結託して競争相手の公正競争を排除してはならない。
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第 3 章 監督検査
第 16 条 県級以上監督検査部門は不正競争行為に対して監督検査を行うことができる。
第 17 条 監督検査部門は不正競争行為を監査、検査する場合、以下に記載する権力を行使することができる。
(1)規定する手続に従い被検査事業者、利害関係者、証人に訊問し、証明資料或いは不正競争行為に関するその他の資料を提供するように要求する。
(2)不正競争行為に関する取り決め、帳簿、票憑、文書、記録、業務書簡、電報及びその他の資料を検査、訊問、コピーする。
(3)本法第5 条に定められる不正競争行為に関する財産、物品を検査する。必要がある場合、被検査事業者に当該商品の提供者及び数量を説明し、販売を一時停止し、検査をまち、当該財産、物品を移転、隠匿、湮滅してはならないよう命じる。
第 18 条 監督検査部門の公務員は不正競争行為を監督、検査する場合、身分証明書を呈示しなければならない。
第 19 条 監督検査部門が不正競争行為を監督、検査する場合、被検査事業者、利害関係者及び証人は関係資料または関係情況をありのままに提供しなければならない。
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第 4 章 法律責任
第 20 条 事業者は本法に違反して被害事業者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負わなければならない。被害事業者に対する損失が計算しにくい場合、賠償額は侵害者が侵害期間に侵害行為により得た利潤とする。また、被害事業者が自分の合法的な権益を侵害した当該事業者の不正競争行為を調査したため支出した合理的な費用を負担しなければならない。
- 被害事業者はその合法的な権益が不正競争行為により損失を受けた場合、人民法院に訴えを提起することができる。
第 21 条 事業者は他人の登録商標を盗用し、勝手に他人の企業名称または姓名を使用し、品質認定標識、優秀著名標識など品質標識を偽造しまたは盗用し、原産地を偽造して商品の品質を公衆に誤解させる虚偽表示をした場合、中華人民共和国商標法、中華人民共和国産品品質法の規定に従って処罰する。
- 似の名称、包装、デザインを使用して他人の著名商品と混同させ、購入者に当該著名商品であると誤認させた場合、監督検査部門は違法行為の停止を命じ、違法所得を没収しなければならず、情状により、違法所得の2 倍以上3 倍以下の科料を科することができる。情状が重い場合、営業許可証を取り消すことができる。虚偽または品質の劣る商品を販売して犯罪を構成した場合、法により刑事責任を追及する。
第 22 条 事業者は財産、物品或いはその他の手段を用いて贈賄することにより商品を販売しまたは購入して犯罪を構成した場合、法により刑事責任を追及する。犯罪を構成していない場合、監督検査部門は情状により、1 万元以上20 万元以下の科料を科することができる。違法所得がある場合、没収する。
第 23 条 公共企業または法により独占地位を有している事業者は他人に指令しその指定する事業者の商品を購入させてその他の事業者の公正競争を排除した場合、省級或いは区を設けている市の監督検査部門は違法行為の停止を命じ情状により、5 万元以上20 万元以下の科料を科することができる。指定された事業者はその被指定により品質が劣りながら価格が高い商品または費用をみだりに徴収した場合、監督検査部門は違法所得を没収しなければならず、情状により、違法所得の2 倍以上3 倍以下の科料を科することができる。
第 24 条 事業者は広告またはその他の方法を用いて商品につき公衆を誤解させる虚偽宣伝を行った場合、監督検査部門は違法行為を停止し、影響を除去するよう命じなければならず、情状により、1 万元以上20 万元以下の科料を科することができる。
- 広告事業者は明らかに知った、または知りうるべき情態のもとで虚偽の広告を代理、設計、制作、公布した場合、監督検査部門は違法行為の停止を命じ、違法所得を没収し、または法により科料を科しなければならない。
第 25 条 本法第10 条に違反して商業秘密を侵害した場合、監督検査部門は違法行為の停止を命じなければならず、情状によって1 万元以上20 万元以下の科料を科することができる。
第 26 条 事業者が本法第13 条に違反して懸賞景品付販売をした場合、監督検査部門は違法行為の停止を命じなければならず、情状によって1 万元以上10 万元以下の科料を科することができる。
第 27 条 入札者が入札談合をして入札の価格を引き上げたり、価格を引き下げたりしたり、入札者が入札を募るものと結託して競争相手の公平競争を排除した場合、その落札は無効とする。監督検査部門は情状によって1 万元以上20 万元以下の科料を科することができる。
第 28 条 事業者が一時、販売を停止する命令に違反して不正競争行為に関する財産、物品を移転、隠匿、湮滅した場合、監督検査部門は情状によって販売、移転、隠匿、湮滅された財産、物品の価格の2 倍以上3 倍以下の科料を科することができる。
第 29 条 当事者は監督検査部門の下した処罰決定に不服がある場合、処罰決定書を受け取った日から15 日以内に一級上の主管機関に再審を申請することができる。再審決定に不服がある場合、再審決定書を受け取った日から15 日以内に人民法院に訴えを提起することができる、また直接人民法院に訴えを提起することもできる。
第 30 条 政府及びその所属部門は本法第7 条に違反して他人に指令し、その指定する事業者の商品を購入させ、その他の事業者の正当な経営活動を制限し、または商品が地域間を正常に流通することを制限した場合、上級機関は是正を命じる。情状が深刻な場合、同級或いは上級機関は直接責任者に対し行政処分を与える。指定された事業者は被指定により品質が劣りながら価格が高い商品を販売し或いは費用をみだりに徴収した場合、監督管理部門は違法所得を没収しなければならず、情状によって違法所得の2 倍以上3 倍以下の科料を科することができる。
第 31 条 不正競争行為を監督検査する国家機関の公務員は職権を乱用し、職務をおろそかにして犯罪を構成した場合、法により刑事責任を追及する。犯罪を構成していない場合、行政処分を与える。
第 32 条 不正競争行為を監督検査する国家機関の公務員は私利をむさぼり汚職をはたらき、本法に違反し犯罪を構成した事業者であると知りながら故意に庇護して起訴を逃れさせた場合、法により刑事責任を追及する。
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第 5 章 付則
第 33 条 本法は1993 年12 月1 日から施行する。
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